ももんじ通信

本と落語と時々博物館

聞いた落語の演目を記録する

落語会に行くと、聴いた演目をメモする習慣が世の中にあると知ったのは落語を聴き始めて1ヶ月くらいした時だった。

幸いそれまでの演目は大体控えてあったので、メモを頼りにこれまで聴いてきた演目はほとんど全てが残っている。

ホールや独演会で落語を聴く際には大抵出口に演目表が貼られていて、それらを写真で撮ってくるのだが、団体によってなかなか味があるので毎回私は楽しみにしている。大手なのにものすごく演目表がワイルドなところがあったり、毎度書く方が決まっていたり、書式についてもそのうち写真を交えて示したい。

なお、私の最愛演目表会場はなかの芸能小劇場です。

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とはいえ、演目表を提示するのは主催者のご厚意なので強制ではない。定席の寄席ではまず演目表が出ることはない(国立演芸場掲示あり)ため、演目を聞くたびにちまちまメモするしかない。

ルーティンとしては、入場して前座さんが始まるまでに、代演情報があるならそれに合わせて入り口でいただいた演目表を修正して上がった前座さんの名前を控える。前座さんは座布団を返して下がってしまうので、サラ口終わりに前座さんからの二演目をメモする………といったかたち。以前に演目をメモしたプログラムをなくしたことがあったので、終演後にその写真を撮って保存しておく。

なんだかんだでよかったネタ、面白かった人は何年経っても鮮明に覚えているんだけど、演目の控えはもはや自分との戦いなのでちまちまと続けている。

小さな公演で演目が出なかったときもスマホのメモ帳に日付と演目をメモしておく。

そんなこんなを続けていると、大抵の演目はスマホのカメラロールかメモ帳に一覧できる形で溜まっていくが、それでも取り漏らしがいくらか出てくる。また、全く初めて聞くネタももちろんありネタ名を調べる必要が出てくる。そんな時は結局、聞いていて出てきたワードを元に検索をかけるか、運が良ければ他の来場者がツイッターに演目を載せているのでそれを参考にする。

演目を調べる時に便利なのは落語芸術協会のホームページにある演目紹介でオチによる分類や初心者の方への解説も付けられていて分かりやすい。

演目紹介 - 落語はじめの一歩|落語芸術協会

演目名はある程度統一されて浸透しているが、例えば「子別れ」と「子は鎹」、「妾馬」と「八五郎出世」、「のめる」と「二人癖」、「小間物屋政談」と「万両婿」などいくつかの呼称があるネタもある。また、「大工調べ」「宮戸川」「品川心中」など序がかけられることが多いネタも存在する。

以前にツイッター立川談四楼師匠が「ネタはそもそも演者さんが使っていた符丁だからお客さんは厳密に知らなくても問題がない」という旨の発言をされていた(該当ツイートをすぐにみつけることが出来なかった。無念。)ことや、三遊亭小遊三師匠の立川談志師匠との想い出話にも演目名をつける機微の大切さが登場することからも、演目名はそもそも自分がわかる即興のもので控えれば良いと思っていれば良いのだろう。

ただ、気軽に色々な人と公演の情報が共有できるようになった現代ではマスの情報にアクセスするためのワードとして共通の演目名はある種必須なのかもしれないとも思う。

また、落語と一緒に聞くことの多い講談と浪曲は、インターネットで調べてもまるで演目名がわからないので、会場で食い下がって演目名を控えて来なければ、結局何を聞いたのか生涯分からなくなってしまう。コントや漫才はシチュエーションをメモする。本当の本当に当座の芸なので控えることに果たして意味があるのかとも思うが、紙切りは出た注文をメモしている。昨年の秋頃の東京かわら版のコラムで、紙切りのお題とかかった時間をメモして分析したものがあってとても面白かったが、紙切りの最中にストップウォッチを取り出す勇気は私にはまだない。

こうやって蓄積した落語会でみた演目の情報を私は最終的に細長い高橋手帳のウイークリーページに清書して一覧できるようにしている。写している最中に会で印象的だったことも思い出すので、一緒に控えると公演の鑑賞記録が出来上がる。ただ、量がいかんせん多いのでひと月分書くのに1時間半くらいかかるのが難点だ。昨年末から演目表をまとめる作業をサボっているので、恐ろしい思いがする。

友人だと、やはり手帳やノートにメモするアナログ派が圧倒的に多い。一方で、感想や日記と一緒にツイッターやブログにアップするSNS派の人も最近は増えてきたようだ。

私は漸次保存にSNS、最終的にアナログにまとめることにしている。

ツイッターだとハッシュタグ「#今日の演目」でその日に見た落語の演目を投稿している人が多いようだ。行きたかったのに行けなかった公演を辿る時にも便利だと思う。

自分の鑑賞記録を見ていると、本当に行ってる会が偏っていて嬉し恥ずかしなことが多い。また、たまに垣間見る友人の演目記録も、こんなところでこの師匠がこんな話を!とかこんな人聞きに行くのね〜とかとても楽しく、それだけをタネに何時間も会話ができるほどだ。

こんなに鑑賞記録についてつらつら書いたのは、人様の鑑賞記録の方法や鑑賞記録そのものを見てみたいなあとふと思ったためでした。