ももんじ通信

本と落語と時々博物館

ぼくのかんがえた“さいきょう”のコレクション

平山夢明氏との出会いは高校生のころ、「このミステリーがすごい!」受賞の帯に惹かれて買った『独白するユニバーサル横メルカトル』であった。

 

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

 

とにかく「痛い」文章にドキドキしながら読んだのがはじめであったが、その文章には時々ハッとするほど美しい瞬間もあり不思議な魅力を覚えた。昨年には同短編集に収録された「無垢の祈り」が映像化され、好評を博していたのが記憶に新しい。なお、映画はR-18で視覚的なグロテスクに耐性のない私は視聴を見送ったのだが・・・

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平山夢明」という名前に、聞き覚えのある方もいるだろう。
これもまた昨年映画化された小野不由美残穢』のなかで、日本各地で怪談の収集をしている作家として登場しているのが「平山夢明」である。

 

残穢 (新潮文庫)

残穢 (新潮文庫)

 

なお、映画はホラー映画で、視覚的なホラーに耐性のない私は視聴を見送ったのだが・・・

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平山夢明氏の作品集(あるいはエッセイ)のなかで、私が一番好きなものが『どうかと思うが、面白い』

 

どうかと思うが、面白い

どうかと思うが、面白い

 

 

抱腹絶倒の変質者遭遇エッセイがこれでもか!と詰め込まれているのがこの一冊。読んだのはもう3年も前なのに、未だに不意に思い出しては笑ってしまうエピソードが満載である。

今回取り上げたいのはそんな平山夢明氏の作品集『ミサイルマン』に収められた短編の「枷」である。

ものを集めるのが好きな者にとって、あれもこれもと制限を設けずに集めることは理想であり憧れであるが、実際に行うと財力も体力もまるで足りないことに早い段階で気付く。そのため、コレクションを行う人間は自分の集めるものに条件すなわち「枷」をつける。コレクターにとって、こしらえられた「枷」は安全装置として働き、その外にあるものは眼中から外れる。しかし、「枷」の内側にあるものは何が何でも手に入れたいという欲望が抑えられず、手に入らないとあっては四肢が分断するような苦痛に見舞われることとなる。
かくいう私も物を集めるのが好きな身であり、好きな作品のグッズが部屋中に立ち並ぶ状態となっている。集めるなら、範囲のなか全部!そんなこだわりが染みついてしまっている。

この短編の主人公の男も熱心な「コレクター」の一人である。そして、コレクターであるがゆえの大きな苦しみに直面する。
主人公ののまっすぐな気持と、それゆえに生まれる剥き出しの欲望に心を激しく揺さぶられる。
そんな作品が「枷」である。

 

ミサイルマン―平山夢明短編集

ミサイルマン―平山夢明短編集

 

この書評はシミルボンに2017年1月3日に掲載したものです。

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